頭の痛いゴミ処理問題

 7月6日から8日まで広州市の議会に当たる「広州市人民代表大会常務委員会」の代表団一行7名が来福し、福岡市議会と交流しました。今回の交流テーマは“循環型経済の発展”。主に廃棄物処理について双方が現状と課題を話し合いました。 

 広州市はこれまで“埋立て”を中心にすべてのゴミを処理してきたそうで、分別収集と焼却処理をすすめることが今後の課題だそうです。常住人口が1000万人を超える広州ではゴミの発生量もハンパではなく、いくつのも埋立て場も既に満杯だとのこと。 その周辺は悪臭や汚水、メタンガスの発生などで大変なようすです。 

 広州市政府や人大常務委員会(議会に相当)では今、ゴミ減量と焼却処分に力を入れ始めており、昨年でしたか、広州市の周辺―番禺(ばんぐう)区に焼却場を建設する計画を発表したところ、周辺住民の猛反対にあって、計画を変更せざるを得なくなったと聞いていました。 

  このことが背景にあってか、今回の交流協議では広州側から「焼却場の場所はどのようにして決めているのですか?」「誰もいないところに建設して、後から住民が入ってくるのですか?」「反対は出ませんか?」等々、とても具体的で差し迫った質問がたくさん出ていました。 

 番禺区での問題は日本では「住民が権利を主張し始めた」という、ちょっと別の角度から注目されていましたが、環境衛生の行政担当者にとってはほとほと頭の痛い問題のようです。 

 「でも、その前に出来ることがあるのでは?」と私は通訳をしながら思いました。 

 皆さんは“「福岡方式」の埋立て場”ってご存知ですか?分厚いゴミの層に穴の空いた管を埋設し空気を通すことで、埋立て場の悪臭や汚水、メタンガスの発生などを大幅に改善する方法です。ローテク、ローコストで効果が大きいことから、日本国内の埋立て場の基本構造になっているそうで、近年はアジア太平洋諸国にも紹介され効果を上げているのだそうです。 

 広州市との間でも1995年に両市衛生局が“協力交流に関する覚書”をかわしてこの技術移転に努め、2000年には広州の埋立て場建設責任者が1ヶ月福岡に滞在しながら専門的な技術を学びました。その後…?きっと現場に応用されてそれなりの成果を上げていると信じましょう。 

 ただ、広州の大勢が焼却場建設に移っていることは確かなようです。もちろん分別収集して、再利用する物と焼却する物と、埋立て処分する物に分ける、これは是非とも必要なことです。でもすぐには実行できません。ゴミを分けて捨てるって、言うは安く…ですから。その準備を進めつつ、一方ですぐ出来ることから始めては? 

 ローコスト、ローテクの「福岡方式」で今ある悪評高い埋立て場を改善し、公害の発生をおさえながら、埋立て場の地面を安定させれば、その場所にいつか焼却場も建設できるのでは? 

 素人の私が考えるほど簡単なことではないかもしれません。ただ、ゴミの問題、環境の問題が広州にとって喫緊の課題になっていることは確かだし、それに「福岡方式」と私たちの経験がもっと役に立てれば、こんなに嬉しい事はないと思っています。 

 

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