広州人の春節のごちそう

 今年の春節は2月3日。この日がいわゆる旧正月の元旦でした。中国では2月2日~8日の7日間が連休とされ、それぞれが故郷に帰ったり旅行に出たりしていわゆる民族大移 動現象が起こります。日経新聞の記事には「延28億人が大移動」という見出しが出ていました。その代わりに1月30日(日)と2月12日(土)は振替出勤となるのだそうです。  

 大晦日に当たる2月2日には一家団欒でご馳走を食べるのだそうです。麦食文化圏である北方では餃子がメインになるそうですが、長江以南の米食文化圏ではもち米粉で作る“年糕”(蒸し餅)が主役になります。全国各地にそれぞれの特色あるご馳走があるようですが、広州では家族そろってレストランで外食、という光景も多く見られます。

  広州の伝統的な春節の食べ物を調べてみました。一年中正月のようなご馳走を食べられるように なった今日でも、春節ならではの“点心”は各家庭で準備されるそうです。ここでちょっとご紹介 してみましょう。

1.煎堆:いわゆる胡麻団子です。糯米粉をこねて、中に餡を入れた物と、餡を入れずに空気を吹 き込んだ風船のような物の2種類があって、こんがり揚げた胡麻団子のきつね色を金色に見立て、 「団子がごろごろ、金銀が家中に」と言って、財録がもたらされることを念じた縁起物です。広州 人は漢方医学で言う“熱気が強い食べ物”として揚げ物を警戒するのですが、これを作るときは、 子供は揚げ鍋から遠ざけられ、一晩おいてよく冷やしてから食べるのだそうです。

2.年糕:もち米粉に味をつけて蒸し上げたもの。“年糕”の発音が“年年高昇”―年ごとに出世するという言葉に通じることから、一家繁栄の願いを込めて中国全土で春節に食されます。北方ではもち黍なども使い甘い味つけが好まれますが、南方には甘味塩味両方があり、広東地方のものはさらに特徴的で、“大根餅”“慈姑餅”“里芋餅”などハムや野菜を入れたものが好まれます。近年、これを魚の形に仕上げて“年年有魚”(毎年余裕がある)の意味も込め、年賀の贈り物にする人が増えているそうです。

3.油角:餃子の油揚げ。ピーナッツとゴマを砕いて砂糖に混ぜた餡を、小麦の皮で包み、油で揚げます。北国の人々の餃子作り同様、家族総出で小麦粉をこね、皮を作り、餡を包み…楽しみながら作るのだそうです。

4.蛋散:市販の餃子の皮のように薄くのばした小麦粉の生地を細く切ってひねり、油で揚げた物。胡麻入りの塩味と砂糖味の2種類あって、何れもサクサクして香ばしいそうで、崩れやすいので広州人は小心者、大事をなせない人を“蛋散”と呼んでからかったりするそうです。

5.糖環:もち米粉をこねて網状に仕上げた一種のかりんとうかと思われます。蛋散や糖環、西瓜の種や南瓜の種を綺麗な箱に入れ“冬果”として正月の間常備しておき、年賀の来客をもてなすのだそうです。

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