広州の市花パンヤ。毎年3月半ばから4月にかけて、広州のあちこちで、背の高い木にモクレンに似た大柄の赤いパンヤの花が開きます。
この木が友好都市1周年を記念して、福岡市植物園に贈呈されたことを覚えている方はもうあまり多くないことでしょう。1981年にいただいた数本の苗は、気候条件が全く違うことを配慮して、市内あちこちに植えられましたが、やはりどれもうまく育ちませんでした。唯一植物園内の温室のだけを除いては。
翌々年の春ころから毎年温室内で赤い花をつけるようになり、当初は新聞紙上でも紹介されました。このパンヤ、必ず周りの木や建物よりも高く伸びる習性があることから、別名を英雄樹ともいうのですが、たちまち温室の天井につかえてしまって、仕方なく先端を伐ったりしたものです。
広州交流の在り方が年々変化するにつれて、パンヤの花のことも忘れがちでしたが、私の旧友が今年の2月下旬に植物園を訪れて、「パンヤの花が咲いていたよ!」と知らせてくれました。なんて懐かしい!
対中国交流の職務から離れて、ゆっくりした時間を持てるようになった今、是非この花を見に行こうと思いました。日頃の雑事に追われた人間たちが顧みなくなっても、毎年休みなく花をつけ続けてくれたパンヤ。友好とは一時的な興味ではなく、地道にこつこつと続けていくものだよと、改めて教えられたような気がしています。