2010年8月17日 のアーカイブ

広州大学生とバスハイク

2010年8月17日 火曜日

  7月22日から8月3日まで福岡に滞在して“会社員生活”をしている広州の10人の大学生に、企業文化や家庭生活とは別な、“もう一つの福岡”を味わってもらおうと、「アイランドシティ・志賀島バスハイク」を企画しました。
 8月1日、暑い暑い日でしたが、呼びかけに応えて参加して下さった福岡側は、福岡広州ライチ倶楽部会員・非会員合わせて24人。北京ニーハオや市役所の学習グループで中国語を勉強中の人たちや、広州生活7年、福岡に帰ってきて間もないというTさん親子も。ライチ倶楽部の事務局を担当して頂いている博多港ふ頭(株)のN課長さん達は、大きなクーラーに、前日から自宅の冷凍庫で凍らせたお茶や水をたっぷり用意して参加して下さいました。広州から来て日本語を勉強中の研修生や就学生も、久々に同郷の同世代の仲間に会って楽しそうでした。
 風邪気味で参加できなかった1人を除く9人の大学生たちが2グループに分かれて集合場所に現れ、電車に乗り遅れた後のグループの到着を15分ほど待って、さあ出発。始めにアイランドシティの国際庭園に行きました。

 アイランドシティというネーミングが人工島の “島”から来ていることは容易に想像できますが、中国語の名前をご存知でしょうか?実は“愛藍島城”と訳されていて、その発音が“アイランド”にとてもよく似ているのです。“藍”に青い海原を代表させ、“青い海を愛する街”という意味が感じられる、名訳だと思います。世界的に有名なコカコーラの名訳“可口可楽”にも匹敵するような…。因みにシティは殆どの場合“城”と訳されます。シティ=都市は中国語で“城市”といい、キャナルシティも“運河城”と訳されています。

 よけいな話はこれ位にして国際庭園ですが、2005年9月にここで緑化フェアが開催されたとき、福岡の7つの姉妹都市にお願いして、それぞれの特色を備えた庭園を造ってもらったのです。緑化フェアの閉幕後も6つの庭園(イポー市はたくさんの蘭を“グリングリン”の中に植栽してくれています)はそのまま残され、国際庭園として人々の目を楽しませています。と言ってもあまり知られていませんよね。知られていないから手入れもやや不十分らしく、雑草が目立っていました。もったいない。
 広州庭園は小さいながらも広州らしさを十分に具えた立派なものです。当時この造園作業に関わった人が今回のバスハイクに4人も居たなんて奇遇です。かく言う私も広州からやってきた設計士や技士さんと地元の作業者との意思疎通をお手伝いするために、屋根に登って通訳をした思い出があるのです。
 しかし何しろ暑かったので、そそくさと日陰に避難してグループ分けのじゃんけんをしました。総勢33人を6、7人の5グループに分け、バスの中でも昼食時も、そして海の中道海浜公園でのオリエンテーリングでもそのグループで一緒に居るようにしたのです。これで参加者間の空気は一挙にうち解け、バスの中も賑やかになりました。

 次に行ったのは志賀島の金印公園。道中、夏休みの土曜日とあってサンシャインプールに向かう車の渋滞にあいましたが、楽しい語らいがイライラを消してくれました。
金印公園は言わずと知れた、国宝金印の出土の地です。でもここに新中国建国期の功労者で九州大学医学部出身の郭沫若(かくまつじゃく)さんの詩碑があることを知っている人はあまり多くないかもしれません。
 この碑が建てられたのは日中国交正常化後4年目の1976年のことです。73年に中国を訪問した訪中団が郭沫若さんと会見したことをきっかけに、官民による「詩碑建設世話人会」が組織され、111団体、410個人からの浄財を募って、郭沫若さんの「永久に室内の戈を重ねて操らじ」という日中不再戦、平和への願いを詠んだ詩を大きな石に彫り込み、中国ゆかりの地である金印公園の一角に建立したのです。石碑の下には賛同者の名簿をいれた硝子の箱が埋められています。(独身時代の私の名前も含まれています。)

 郭沫若さんの詩碑のある場所から少し下った処には、福岡広州友好都市の調印をした時の広州市長(当時は革命委員会主任といいましたが)楊尚昆さんの書を刻んだ石が建てられています。
            帯水横陳  (帯水よこたわり)
            両市相望  (両市相望む  )
       友誼永恒  (友誼永恒なり )
広州市の越秀公園のなかにある“金印遊園地”には進藤一馬元市長の俳句が石に刻まれて建立されているのですが、この時代は石に刻んで記録を残すという、中国古来の方法に倣ったやり方が多かったのだなと今にして思います。
 楊尚昆市長はのちに国家主席となった方で、広州の学生達は楊主席として知っていたようですが、広州市長だったことは知らない人が多かったようでした。

 ここで記念写真を何枚も撮ったあと、大岳の“海辺の里”に移動して、バーベキューの昼食をいただきました。海の幸をつかった珍しいバーベキューでした。当初は公園の木陰で持参のお弁当をと計画していたのですが、インターンシップ生をホームビジットさせてくださったSさんのお母様がバーベキューに皆を招待してくださったのです。
大人数なので学生の分だけご馳走して頂くことにしました。暑い日でしたので、炉を囲んでの焼き肉、焼き魚もかなり熱くはありましたが、これぞまさしく漢方医学に言う「以熱攻熱」~熱で熱を退散させる~でしょう。

 お腹一杯になったところでいよいよ今日のハイライト、海の中道海浜公園でのオリエンテーリングです。真昼の公園の中を、地図をみながら、隠されたアルファベットの文字を求めて右往左往したのですが、暑いなりに楽しく、あっという間に1時間余が過ぎました。

 帰りのバスの中ではお互いのメールアドレスを交換する姿があちこちで見られ、いい交流だったんだなと満足を感じると共に、メールの交換や色々な連絡が末永く続くよう心から念じました。それこそが私たち福岡広州ライチ倶楽部の求めるものだからです。